《街のよりそいさん数珠つなぎ》インタビュー(一回目)

【インタビュー報告書・原稿】佐藤あつみ・廣田貴也
【インタビューに伺った日にち】2019年9月19日木曜日


《今回のよりそいさん》三浦紀夫さん

1965年生まれ。一般企業勤務後に、百貨店での仏事相談員経験を経て、現在僧侶として活動する傍ら、特定非営利活動法人ビハーラ21で理事・事務局長を務める。趣味はスポーツ観戦(野球、ラグビー、アメフト)。

 

「ビハーラ21では、どのような活動を行っていますか?」

ビハーラ21では、介護保険事業と障害福祉事業の2つの事業があります。これらの中には、ヘルパーの派遣、介護の計画、デイサービス等を行う公的サービス(フォーマル)と、公的サービスでははみだしてしまう部分を補うサービス(インフォーマル)が存在しており、私は後者を担当しています。私たちは、福祉のフォーマルとインフォーマルの線引きをするため担当をわけて、活動を行っています。

※フォーマルなサービス・インフォーマルなサービスとは?

インフォーマルなサービスとは、例えば、一人暮らしのお年寄りが入院したときに、家族が遠方にいるなど事情がある場合に、緊急連絡先として登録する等です。フォーマルなサービスのみでは、介護保険を資金としているため、制度の対象外である上記のような対応はできませんが、インフォーマルなサービスでは対応することができます。

「現在の職に就かれたきっかけはありますか?」

30歳のときに父親が亡くなったことがきっかけです。そのときに、何をすればいいかわからず、いざ終わったらこれでよかったのかと、虚しさが残りました。35歳のとき、少し勉強するつもりで百貨店の仏事の相談コーナーの研修に応募しました。興味をもち転職し、10年ほど相談を受けていくなかで、過去の自分と同じような思いを持つ人が多いことに気づきました。「それを何とか解決したい」という思いが出発点でした。看取りのときも一緒にいて、葬儀をするときも一緒にいる両方できる人がお坊さんだと思い、いろんなお寺を訪問しました。その中で現在の住職と出会い、「そんなお坊さんがいたらいいと思うんやったら、君がやったらいいやろ」と言われたこともきっかけとなりお坊さんの道に進むことになりました。

三浦紀夫さんのあゆみ
 30歳 ▸ 父親が死去
 35歳 ▸ 百貨店の仏事相談員になり、責任者を務める
 44歳 ▸ 住職に出会い、得度
 46歳 ▸ ビハーラ21で事務局長に就任

 

「お仕事をする中でのやりがいはどのようなことですか?」

1つ目は、家族のような存在がいっぱい増えることです。自分の親くらいの年齢の利用者さんと関わり、結果として看取った方が大勢おり、お墓参りに行くお父さんお母さんがたくさんいます。彼らを親代わりと思っているわけではないですが、家族のような存在と捉えています。

2つ目は、それぞれの方の生き様がよくわかることです。通常、生きていく中でそこまで人の人生に深く関わることはないですが、この仕事では自分の人生以外の人の人生を深く知ることができることが面白いです。

「支援をするうえで心がけていることはありますか?」

あくまでも平等な立ち位置で出会うこと、支援をしてあげる人として利用者さんに接するのではなく、まっすぐその人と向き合い、ありのままを見ることを心がけています。

また、出所者支援の場面では、その人にはその人の言い分があることへの理解を大切にしています。その人の言い分は、社会には受け入れられないことかもしれませんが、それ自体に正解や不正解はないと思っています。

「三浦さんの今後の目標はありますか?」

私自身の当初目指していた形はできていると思います。次の課題としては、全国の施設でも私たちの施設のようなフォーマルとインフォーマルを分けた支援を行うことができるような仕組みを作ることです。

「私たち(一般市民)に向けて一言お願いします!」

福祉施設を作ったり、福祉的な活動をしようとすると反対運動が起こることがあります。でも、福祉の現場に直接関わってほしいとはいいませんし、何をしているかはしっかりとオープンにしています。私は、利用者さんの手を離さない役割を担うので、温かく見守っていてほしいです。

 

私たちの感想

学生の私たちにもわかりやすくお話をしてくださり、明るく気さくな方だなぁという印象を受けました。お話を聞いていく中で、現状に満足せず明確な信念のもと、将来を見据えていらっしゃったことがとても印象に残りました。「人と人とのつながり」の大切さを重視しているからこそ、利用者さんからも慕われ、施設全体が明るい雰囲気なのではないかと感じました。(廣田・佐藤)

記事を読んでの感想(実際に取材には行っていないメンバーの感想)

制度や他人を変えようとするのではなく、自分は目指す方向を向くだけというスタンスが現在の職業に相応しいと思います。一人一人と向き合って、出逢った人との縁を大切にしたい、そんな思いを感じます。加害者支援と構えるわけではない語りが三浦さんの個性ではないでしょうか。(森井)

 

《 よりそい写真館 》

左から廣田・三浦さん・佐藤
三浦さん