刑務所を出所しても、身寄りもなく帰る場所がない。そんな時には更生保護施設[1]や自立準備ホーム[2]いった制度を活用し、宿泊場所や食事の提供、就労支援、金銭管理指導などを行いながら、再出発を支える制度があります。
でも、更生保護施設や自立準備ホームでは処遇が困難なケースもあります。それは、障がいや高齢といった、いわゆる福祉的支援が必要と判断され、それらのサービスを施設内では提供できないケースです。社会福祉士の配置など徐々に受入体制は整いつつありますが、自立につなげることが難しい場合は、利用ができないことがあります。また、いわゆる「入口支援[3]」で有罪にならず、不起訴となった場合などは、これらの制度を活用することが原則できません。
再犯予防には安定した地域生活を送ることのできる環境を整えることも重要ですが、その基盤となる“住まい”が不安定であれば、はじめの一歩を踏み出すことも難しくなります。一時的な仮住まいがあれば、必要な福祉サービスの調整や本人のニーズに応じた住まいを探すこともできます。まだまだ「前科者はご遠慮願いたい」という大家さんも多く、住まい探しには時間がかかることも事実です。
こんな現場の声から、よりそいネットでは2016年6月からアパートの1室を確保しています。それが“よりそいシェルター”です。単純にシェルターといっても、住まいだけではなく、生活を気にかけてくださる応援団も不可欠です。「再出発を応援してくれる人がいる」ということの実感は再犯予防の大きな力にもなります
ただ、利用者がいない時に1室を確保するのはもったいないといった声もあり、生活困窮者自立支援事業の一時生活支援事業との連携や、ホテルなどを活用したシェルターはできないかなどなど、状況に応じてより良いものを目指していきます。
これからは空き家が増えていき、候補となる“住まい”も多くなると思います。そんな時はみなさまも応援団の一員になってください。ご協力をお願いします。
[1] 更生保護施設とは:法務省HP
http://www.moj.go.jp/hogo1/kouseihogoshinkou/hogo_hogo10-01.html
[2] 自立のための一時的な宿泊場所について-更生保護施設・自立準備ホーム-:法務省HP
http://www.moj.go.jp/content/000095436.pdf
[3] 入口支援とは:全定協HP
http://zenteikyo.org/index.php?%E5%85%A5%E5%8F%A3%E6%94%AF%E6%8F%B4