●地域生活定着支援センターとは

高齢者や障がい者で、福祉的な支援を必要とする矯正施設(刑務所、少年刑務所、拘置所、少年院)退所予定者及び退所者等について、矯正施設入所中から退所後まで一貫した相談支援を矯正施設、保護観察所等と連携・協働して実施し、矯正施設退所者の社会復帰及び地域生活を支援することを目的としています。

●なぜ、加害者を支援するの?

犯罪の被害者を支援するというのならわかるけど、なんで加害者を支援するの? そう思われる方も、多いことでしょう。加害者は、たしかに罪を犯した結果、刑務所に入っているわけですが、「困った人」である前に、「困っている人」でもあります。たとえば、新入受刑者のうち、高齢者の割合が12.9%、知的障害の疑いのある者20.1%、精神障害のある者14.8%です(矯正統計年報2020)。高齢者の罪名で一番多いのは窃盗、窃盗事犯のうち万引きが85%、万引き事犯の窃盗物品の金額は、3000円未満が73.3%です(犯罪白書2018)。高齢にともない、安定した収入源、住まい、支えてくれる家族などを次第に失い、にもかかわらず生活保護や福祉サービスにもつながらず、それらが多元的に重なって、犯罪行為に至っています。でも、いったん「犯罪者」とみなされると、特別視されて福祉関係者も手を引いてしまう。社会的な制度のなかで、唯一、対象者の収容にあたって、受けいれを拒否できない機関として刑務所があります。そうしたなか、資力や人脈がなく、コミュニケーションに課題を抱えている人が、微罪を繰り返して刑務所に何度も入所している現実があります。

●入口支援(被疑者等支援事業)

刑事司法手続の入口段階にある被疑者・被告人等で、高齢または障がいにより自立した生活を営むことが困難な人に対して、釈放後直ちに福祉サービス等を利用できるように支援を行います。保護観察所からの依頼のタイミングによっては、限られた身柄拘束期間のうちに調整を行う必要があります。それには、対象者の特性や必要な福祉サービスに関するアセスメントを、迅速かつ的確に行うことが求められます。

●出口支援(地域生活定着促進事業)

矯正施設入所中から面接やアセスメントを行い、出所後直ちに福祉サービス等につなげる業務について、「出口支援」と呼んでいます。高齢または障がいにより自立した生活を営むことが困難な人について、矯正施設と保護観察所が対象者を選定し、保護観察所が地域生活定着支援センターに支援を依頼して、支援が開始されます。

●フォローアップ業務

矯正施設から退所し、地域での生活をしていくにあたって、地域の福祉や医療機関、行政、住まい、就労など、さまざまな人や機関が支えることで、再犯から遠ざかる生活を促すことができます。司法と福祉が手に手を取り合うことで、再び罪を犯さないよう生活を支えることが重要です。

●相談支援

特別調整対象者以外でも、矯正施設(刑務所、少年刑務所、拘置所及び少年院)を退所した後に支援が必要になった人や関係者の相談を受け、必要な支援を調整していきます。

※図版は、全国地域生活定着支援センター協議会より。